【朝から耳ラジオ】第4回「自転車でイヤホン禁止のひみつ」——街の音を巡るルール

2026年7月26日(日)、ラジオ日本「朝から耳ラジオ」の第4回をお届けしました。日曜の朝、聴いてくださった方はいらっしゃいますでしょうか。
キクモアを運営する弊社neumoの代表取締役CEO・若林が、フリーアナウンサーの小川真由美さんと「耳と脳の関係、耳と脳の不思議」に迫っていくこの番組。
第4回は「自転車でイヤホン禁止」のひみつ ——街の音を巡るルールと題して、今年4月に変わった交通ルールを入り口に、耳と方向感覚の関係まで話が広がりました。最後はフクロウの実験から、思いがけず勇気づけられる結論にたどり着きます。
放送の内容を振り返っていきます。
ウルフルズ・ケイスケさんの一言が自信になった
冒頭は、「脳科学の会社でありながら、なぜ音に注目したのか」というお話です。きっかけのひとつは、10年以上前、毎年通っている徳島の阿波踊りの期間中に行った鉄板焼きのランチでした。
その席には、以前から連(れん)に来てくださっていたウルフルズのリーダー・ケイスケさんもいらっしゃり、その日はケイスケさんが若林の隣に座りました。若林はプロのアーティストを相手に、自然音に近い音楽や、鉄のすり鉢のようなものから不思議な音が出る「波紋音(はもんおん)」の話を延々と続けたそうです。
そして最後にケイスケさんからかけられたのが、「龍成君、音詳しいんだね」という一言でした。半分はお世辞だと思いつつも本当に嬉しく、音と脳科学で会社をやろうとするときの自信につながったといいます。
周囲の音が聞こえない状態での自転車のイヤホン運転が、青切符の対象に
本編のテーマは、自転車とイヤホンです。今年4月の交通ルール変更で、自転車の運転中にイヤホンなどをして周囲の音が聞こえない状態でいると、反則金(青切符)の対象になりました。
若林も「めちゃくちゃ危ない」と話します。イヤホンで耳をふさぐと、音がどこから来ているのかが怪しくなり、方向感覚が鈍ります。とくにノイズキャンセリング機能を使うと外の音があまり入ってこなくなるため、後ろから自転車や車、バイクが近づいてきても気づきにくくなります。
ノイズキャンセリングとは、外から入ってくる騒がしい音を消してくれる機能です。地下鉄の車内でも、音楽を流せばかなり無音に近い状態で聴けてしまうほどの性能があります。だからこそ、運転中の使用は危険だというわけです。
イヤホンが手放せない人もいる——APDという状態
一方で、話はそう単純ではありません。若林が紹介したのは、毎日新聞の英語版に掲載された「聞き取りの補助としてイヤホンに頼る男性に不安の声」という記事です。
この記事に登場するのは、APD(Auditory Processing Disorder・聴覚情報処理障害)という状態の方です。騒がしい中で人の声を聞き取るのが苦手だったり、言葉が音としては耳に入ってくるのに意味のある文章として受け取りにくかったりする状態を指します。こうした方にとっては、雑音を消してくれるイヤホンを付けると相手の声だけがきれいに聞こえるため、日常生活で重宝しているといいます。
そのため、自転車に乗るときもイヤホンを手放しにくい人がいて、新しい制度では青切符を切られる可能性が出てくるのではないか——というのが記事の趣旨です。ただし、APDの方全員が、自転車に乗る際にもイヤホンを使用しているわけではない、とも若林は補足しました。
これについて若林は、自身の見解として、ノイズキャンセリングモードは一般の方にとってもAPDの方にとっても危険だと話しました。外の音を取り込む「トランスペアレント(透明)モード」もありますが、それでもイヤホンを外したほうがよく聞こえます。普段から聞き取りの補助として使っているぶん、常時身につけていると安心という心理があり、透明モードのまま運転しているのではないか、というのはあくまで推測だと付け加えました。
耳をふさぐと、方向感覚やバランスに影響が出ることも
歩いているときのイヤホンについても、しないほうがよいと若林は話します。耳をふさぐと、音が前から来たのか後ろから来たのか、上からなのか下からなのかがあやふやになります。さらに、体のバランスを取ることにも少し影響が出るという研究結果もあるそうです。耳は私たちが思う以上に、普段からさまざまな情報を取り入れて生活を支えているというわけです。
フクロウの「音の地図」と、意地悪な実験の意外な結末
後半は、方向感覚と音の関係をさらに掘り下げて、フクロウのお話です。フクロウの頭の中には「音の地図」があります。カエルやネズミが立てるガサガサという音がすると、空間のどの方向で音が鳴ったかをぴたりと言い当ててしまいます。しかも視覚にも同じ地図があり、両者が一致しているため、顔をさっと向けるだけで獲物のいる方向を捉えられます。
ここで紹介されたのが、少し意地悪な実験です。若いフクロウに、視界が23度ずれるプリズムのメガネをかけます。正面で音が鳴ってフクロウが正面を見ても、視界がずれているので、そこに獲物がいません。ところが数週間から数か月かけてその状態に慣れると、若いフクロウは23度ずれた方向をきちんと見られるようになりました。
一方、大人のフクロウで同じ実験をすると、修正できませんでした。年を重ねると新しいことを吸収しづらいのか——と思われたところで、追加の実験が紹介されます。いきなり23度ではなく、6度、11度、17度と段階的に慣らしていったところ、大人のフクロウでも聴覚の地図が動き、きちんと補正できるようになったのです。
語学でもスポーツでも楽器演奏でも、若い頃のようにいかないと壁にぶつかることがあります。それでも、やり方を変えて、レベルアップの段差を小さくしたり目標を小刻みにしたりすることで、その壁を乗り越えられる希望があるのではないか——若林はそう締めくくりました。
次回放送
次回のテーマは「世代で違うヘッドホン文化」です。世代によって異なるヘッドホンとの付き合い方について、お話をお届けする予定です。
ぜひお聴きください!
「朝から耳ラジオ」番組情報
「朝から耳ラジオ」は、「毎日の会話に寄り添う」株式会社neumoの提供でお届けする番組です。neumoの代表取締役CEO・若林龍成が、フリーアナウンサーの小川真由美さんとともに、毎回「耳と脳の関係、耳と脳の不思議」に迫っていきます。若林が自身の経験から感じた「音」と「脳科学」の面白さをお届けしていきます。
番組名:朝から耳ラジオ
放送日時:毎週日曜6:00〜6:15 (2026年7月5日より放送開始)
放送局:ラジオ日本 FM92.4MHz/AM1422kHz
radiko:
https://radiko.jp/index/JORF/
(放送時間外は別の番組が表示されます。放送時間にクリックすると「朝から耳ラジオ」が表示されます。)
第4回「自転車でイヤホン禁止」のひみつ ——街の音を巡るルール 2026年7月26日(日)放送
https://radiko.jp/#!/ts/JORF/20260726060000
(放送日より7日以内視聴可能)
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