BTSのV(テヒョン)さんが片耳難聴を告白「左が100なら右は30」――兵役で悪化。イヤモニ越しでも耳元には大音量、歌手やアーティストの耳が抱えるリスク

2026年8月12日、BTSのV(テヒョン、本名キム・テヒョン)さんが、ファンプラットフォーム「Weverse」のライブ配信で右耳の聴力低下を初めて公表しました。4年以上ぶりのワールドツアー「ARIRANG」の真っ只中。ARMY(BTSのファン)に向けた告白は、聴覚の仕事をしている私たちにも聞き流せないものでした。
「左が100なら右は30」――Weverseライブでの初告白
米ボルティモア公演のあと、JUNG KOOK(ジョングク)さんと食事をしながらの配信で、テヒョンさんはこう切り出しました。
「これまでARMYに話したことなかったけど、2年半前くらいから聴力が悪くなっちゃって」
「例えばこっち(片耳)で100聞こえるとしたらこっち(片耳)では30くらいしか聞こえないんだ」
(モデルプレス、2026年8月12日より引用)
聯合ニュース(8月12日)の記事によれば、テヒョンさんは「ずっと薬を飲んでいて、病院にも定期的に通っています」とも語っており、服薬と通院を続けています。
兵役で悪化――「気の持ちよう」と片付けられた耳
「(兵役の)軍隊で悪化した時、周りが体育会系ばかりで『気の持ちようの問題』って言うから、自分もそう思い込んじゃって」
(モデルプレス、2026年8月12日より引用)
ジョングクさんが「それは良くないよ」と苦言を呈し、テヒョンさんは「だから今はちゃんと病院に通っているよ」と応じています。原因は公表されていませんが、軍隊は耳にとって過酷な環境とされています。米国のNIOSH(国立労働安全衛生研究所)の基準では、85dBの音なら1日8時間まで。3dB上がるごとに許容時間は半分になり、100dBで15分、110dBで1分半、115dBなら28秒です。小銃の発射音は瞬間的に150〜160dBに達し、この基準の「瞬間の上限」140dBを1発で超えると言われます。米国では退役軍人の障害補償の項目で、1位が耳鳴り、2位が難聴。耳のトラブルが1・2位を独占しています(米退役軍人省の統計)。「気合いの問題」で済む領域ではないのです。
イヤモニ越しでも耳元には大音量――歌手やアーティストの耳への負担
そして舞台に戻れば、歌手やアーティストの耳は日常的に大音量にさらされます。スタジアム公演の客席は100dB前後、歓声はそれ以上。ステージ上ではイヤモニ(イヤーモニター)で外の音を遮りますが、演奏や自分の声を聞き取ろうと音量を上げると、耳元の実測は90〜110dBに達すると報告されています。先ほどのNIOSH基準に当てはめれば、100dBで15分、110dBで1分半が1日の上限。2〜3時間のライブは、その上限の10倍から100倍もの時間、大音量を耳元で浴びている計算です。加えて自分の歌声も骨を伝って内耳に届く。リハーサルと本番の繰り返しによるダメージは、耳に蓄積すると言われています。
片耳の聴力低下で困るのは、聞こえる音量が下がることだけではありません。両耳の情報から脳は音の方向を判断し、騒がしい中で聞きたい音を拾い分けています。片耳の情報が減ると、この「方向」と「聞き分け」が難しくなるとされています。大歓声の中でメンバーの声と演奏を聞き分ける仕事にとって、これは切実な問題です。
ワールドツアーの真っ只中で、それでも公表した意味
同じ配信では、ジョングクさんも「すねのあたりが疲労骨折一歩手前の状態」と明かしました(聯合ニュース)。テヒョンさんが「1ヶ月後くらいにはどうかな」と回復の見通しを慎重に語ったのも、この過酷な日程を抱えているからでしょう。聞こえの低下は見た目に現れず、本人にしか分かりません。世界的スターですら、一時は「気の持ちよう」と思い込んでいた。その事実が、聞こえの問題を一人で抱えている誰かの背中を押すのだと思います。
【余談】「気のせい」で済ませないために――聞こえを支える耳の脳トレ
ここからは本題を離れて、私たちneumoの話を少し。私たちは、脳科学をベースにした聴覚トレーニングアプリ「キクモア」を開発・運営しています。聞こえは耳だけでなく、音を処理する脳の働きにも支えられているという考え方から、「耳の脳トレ」として、騒がしい場所での聞き分けなどをゲーム感覚で鍛える内容です。「最近、聞き返しが増えたかも」と感じたら、まずは耳鼻咽喉科で状態を確かめること。そのうえで日々の聞こえを鍛えていくこと。その両方に意味があると私たちは考えています。
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