【朝から耳ラジオ】第6回「音を“聴く”植物?——マツヨイグサの不思議」

2026年8月9日(日)の朝6時から、ラジオ日本「朝から耳ラジオ」の第6回をお届けしました。15分間、お付き合いいただけましたでしょうか。

「脳科学とテクノロジー」を駆使して社会問題を解決することをビジョンに掲げる弊社neumo。キクモアを運営する代表取締役CEO・若林が、自身の経験から感じた「音」と「脳科学」の面白さを、フリーアナウンサーの小川真由美さんとともにお届けしています。第6回のテーマは「音を“聴く”植物?——マツヨイグサの不思議」です。耳を持たないはずの花が、ある音に反応するという研究から、私たちの暮らしの音の話へと広がりました。

放送の内容を振り返っていきます。

レバノンで篠笛を吹く——阿波踊りの掛け声と「間」のはなし

冒頭は、以前の放送で触れた篠笛にちなんで、海外での演奏経験のお話です。若林は随分昔に、中東のレバノンで篠笛を吹いたことがあるといいます。

きっかけは、レバノンの大学で日本語や日本文化を教えている先生が友人だったことでした。阿波踊りと日本文化を教えてほしいと頼まれて現地を訪れ、若林が笛を吹いて、みんなに阿波踊りを即興で踊ってもらったそうです。ただし笛だけでは阿波踊りになりません。そこで、呼んでくれた先生にレバノンの家で3日間、「チャンカチャンカチャンカチャンカ」という鉦の叩き方を教え込み、その鉦と笛でレバノンの皆さんが阿波踊りを踊りました。

参加者は全員が初めてでしたが、結構踊れたといいます。大きなペットボトルを持ってきた男の子が、太鼓の真似をして「ドンドンドンドン」と即興で叩いてくれたというエピソードも紹介されました。しかもその子は1週間後、バーベキューに行って阿波踊りを踊ってみましたという動画をYouTubeに上げ、キャンプファイヤーの周りで太鼓もどきを叩きながら「ヤットサー、ヤットサー」と声を上げていたそうです。

もう一つ面白かったこととして挙げられたのが、掛け声です。阿波踊りの「アヤットサー」「アヤットヤット」という掛け声は、日本語を話す人には比較的簡単にできる一方、レバノンに住むフランス語やアラビア語を母国語とする人にとっては難易度が高く、その日にできるようになった人は1人もいなかったといいます。ところが、日本人とレバノン人のハーフの小学生ぐらいの子どもが2人いて、その子たちは日本語のリズムが分かるようで、すぐにできるようになりました。

日本語で育った人はLとRの区別が苦手だと言われる一方、阿波踊りで使うような「間」は得意である——苦手なものがあるから得意なものがあるということが、「間」やリズムにも表れているのが非常に面白かった体験だった、と若林は振り返ります。

マツヨイグサが反応したのは、人間にも聞こえる低い音

本編のテーマは、音と植物の関係です。小川さんからは、素人考えだと植物には耳があるのかという印象だという言葉がありました。

取り上げられたのは、マツヨイグサという花です。夏場によく道端に咲いている黄色い花として知られていますが、今回紹介するのはイスラエルの研究のため、日本で咲いているあの花の遠い親戚のようなものと捉えてほしい、という説明でした。

イスラエルの研究者が、このマツヨイグサに音を聞かせて反応を調べました。聞かせたのは3種類です。1つ目は15万ヘルツから16万ヘルツという高周波音で、人間にはまったく聞こえず、イルカには聞こえる高さです。2つ目は3万4000から3万5000ヘルツで、この3種類の中では中くらいの音にあたりますが、これも人間にはまったく聞こえません。3つ目は50ヘルツから1000ヘルツという、人間にも聞こえる低周波の音です。

小川さんはイルカの話から高いほうと予想しましたが、実際に反応したのは低周波音でした。その理由として挙げられたのが、蜂の羽音が200から500ヘルツあたりにピークを持つことです。つまり、マツヨイグサが蜂の羽音を聞いているのではないか、というわけです。

しかも、その音を聞いてから3分以内に、蜜の糖度が普段より上昇し、20%ぐらいまで達したといいます。蜂に対して蜜を甘くし、こちらにおいでと働きかけているという見方です。若林は、マツヨイグサが意図的に聞いているかどうかは分からないと断ったうえで、蜂の羽音を聞くと糖度が上がるという関係があり、うまく共生しているのではないかとまとめました。

さらに、どこで音を聞いているのかを調べるため、花弁を取り除いてもう一度同じ音を聞かせたところ、同じようには振動しなくなりました。このことから、花の部分で音を聞いているのではないかということも、この研究で分かったそうです。

都会の騒音は、マツヨイグサにとっても良い環境ではないかもしれない

小川さんからは、音を聞いているのならマツヨイグサも難聴になったりするのか、という質問が出ました。

若林によると、植物が難聴になるかどうかを調べた研究はなかなか見当たらないといいます。ただし、今回の実験の花を大都会に持ってくると、マツヨイグサにとって良くないことが起こり得ると話しました。50ヘルツから1000ヘルツという音は、エアコンの室外機や、バスやトラックといった大型車のアイドリング音に含まれていることがあるためです。

そのため、蜂が来たのかと間違えて蜜を甘くしてしまったり、逆にさまざまな騒音の中で実際に蜂が来ても気づかなかったりということも起こり得ます。難聴とは違うものの、植物にとってあまり良い環境ではない可能性はある、という指摘でした。

家の周りの騒音と、今日からできる対策

植物でさえ音から影響を受けるのなら、人間への影響はどうなのか。小川さんが家の周りの騒音について尋ねると、若林は、睡眠不足やストレスが伴い、そこから血圧や血管系への影響など、さまざまな影響が報告されていると答えました。

とはいえ、簡単に引っ越しはできません。そこで挙げられた対策が、寝るときの枕の位置を、道路のうるさいほうではなく逆向きに変えることです。動かせるのであれば、ベッドの位置を変えるという方法もあります。

もう一つが耳栓です。耳栓を使えば完全に静かになりますが、静かになりすぎて警報が入ってこなかったり、電話が聞こえなかったりすることもあり、それ自体がリスクになります。そこで名前が挙がったのが「Loop」というメーカーです。このメーカーには、音を完全には遮断せず、周囲の音が少し聞こえるタイプの耳栓もあります。こうしたものを使ってストレスを減らすという方法もあるかもしれない、と話しました。

自然の音を聴いた後は、リラックスまでの時間が37%早いという結果も

話題は、騒音から離れて自然の音へと移ります。水のせせらぎの音がいいという小川さんに、若林も森の木の音が大好きだと応じました。こうした研究をまとめた論文があり、自然の音は人間にとって良いのではないかということが分かってきているといいます。

個別の研究として紹介されたのが、ワーキングメモリーの実験です。鳥の音や波の音を聞いた人は、都市の大きめの騒音を聞いた人と比べて、数字を覚えて逆から言い直す(「3、4、5」と言われたら「5、4、3」と答える)課題の成績が良くなりました

ただし若林は、これは一晩寝た後に覚えていたというような記憶力の話ではないため、記憶力が良くなったかどうかは分からないと補足します。短期的に頭の中に情報を溜めておく成績が良くなった、ということです。都会の音は非常にうるさく注意を引くため、それが無いという影響と、自然の音でリラックスしたという影響の両方があるのかもしれない、という見方でした。

また、別の研究も紹介されました。ストレスがかかる計算問題をやってもらった後に、自然音と大きな交通騒音をそれぞれ聞かせたところ、自然音を聞かせたほうが交感神経の興奮度合いが半分になるのが早く、37%も早くリラックスできたという結果が出たそうです。

こうして科学的に証明されると勇気も湧くし、もっと自然の中に行こうという気持ちになる——夏休みでもあり、出かけましょう、という会話で締めくくられました。

次回放送

次回、第7回は「海外のコンサート文化——耳栓を持っていく観客たち」をお届けします。

ぜひお聴きください!

「朝から耳ラジオ」番組情報

「朝から耳ラジオ」は、「毎日の会話に寄り添う」株式会社neumoの提供でお届けする番組です。neumoの代表取締役CEO・若林龍成が、フリーアナウンサーの小川真由美さんとともに、毎回「耳と脳の関係、耳と脳の不思議」に迫っていきます。若林が自身の経験から感じた「音」と「脳科学」の面白さをお届けしていきます。

番組名:朝から耳ラジオ
放送日時:毎週日曜6:00〜6:15 (2026年7月5日より放送開始)
放送局:ラジオ日本 FM92.4MHz/AM1422kHz
radiko:
https://radiko.jp/index/JORF/
(放送時間外は別の番組が表示されます。放送時間にクリックすると「朝から耳ラジオ」が表示されます。)

▼今回の放送を聴き逃した方はこちら

第6回「音を“聴く”植物?——マツヨイグサの不思議」2026年8月9日(日)放送
https://radiko.jp/#!/ts/JORF/20260809060000
(放送日より7日以内視聴可能)






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