寝入りばなに「爆発音」が聞こえる? 日本人就労者を対象にした頭内爆発音症候群の研究

頭内爆発音症候群のイメージ。夜の寝室で眠る50代前後の女性と、頭の中の音の感覚を示す波形。

簡単なサマリー

寝入りばなや夜中に目が覚めたとき、実際には外で音がしていないのに、頭の中で突然「バーン」「ドン」といった大きな音を感じることがあります。この現象は、頭内爆発音症候群(Exploding Head Syndrome:EHS)と呼ばれる睡眠時随伴症の一つです。一般には強い痛みや身体的な損傷を伴わないとされていますが、突然の音で飛び起き、強い恐怖や不安を感じることがあります。

日本人就労者1,843人を対象にした研究では、ICSD-3の基準を満たした人は23人(1.25%)でした。また、頭内爆発音症候群は、不眠・不安・抑うつ・疲労の評価スコアと関連していました。ただし、どちらが原因でどちらが結果なのかは、この研究だけでは判断できません。

要点

  • 頭内爆発音症候群とは、睡眠と覚醒の境目で、頭の中に突然大きな音や爆発のような感覚が生じる現象です。
  • 日本人就労者1,843人のうち、46人(2.49%)が突然の音や爆発感覚を経験していました。
  • そのうち、突然の音に続いて目が覚め、強い痛みを伴わないというICSD-3の基準を満たした人は、23人(1.25%)でした。
  • 頭内爆発音症候群は、不眠、不安、抑うつ、疲労の強さと関連していました。
  • ただし、今回の研究は一時点の状態を調べた横断研究であり、原因と結果の関係は明らかになっていません。

研究内容と結果

この研究は、睡眠とメンタルヘルスについて調べる「NinJaSleep study」の一部として、滋賀県甲賀市の地方公務員を中心に実施されました。2,081人に調査への参加を依頼し、1,878人が回答しました。回答に不備があった人や、症状を区別する必要があるてんかんの既往・治療歴がある人を除外し、1,843人を解析対象としました。

頭内爆発音症候群の判定には、国際睡眠障害分類第3版(ICSD-3)に基づく3つの条件が用いられました。

  1. 寝入りばなや夜間覚醒時に、頭の中で突然大きな音や爆発感覚が生じる
  2. その直後に急に目が覚める
  3. 強い痛みを伴わない

調査では、46人が頭の中で突然の音や爆発感覚を経験していました。そのうち、3つの条件を満たした23人が頭内爆発音症候群に該当しました。したがって、突然音を感じる経験があっても、すべてが頭内爆発音症候群に該当するわけではありません。

研究では、頭内爆発音症候群の有無に加えて、抑うつ、不安、不眠、疲労、生活の質についても質問票で評価しました。その結果、頭内爆発音症候群がみられた人では、抑うつを評価するPHQ-9、不安を評価するGAD-7、不眠を評価するAthens Insomnia Scale、疲労を評価するChalder Fatigue Scaleのスコアが高いことが分かりました。

これらの関連は、年齢、性別、BMI、平均睡眠時間の違いを統計的に調整した後も認められました。ただし、「関連がある」ことと、「頭内爆発音症候群が不眠や不安の原因である」ことは同じではありません。不眠や不安が症状の発生に関係している可能性も、頭内爆発音症候群による恐怖が睡眠や心理状態に影響している可能性もあります。

また、この研究は参加者を長期間追跡したものではなく、一時点の状態を調べた横断研究です。医師による対面診断ではなく、本人が回答する質問票が使われています。対象も日本全国の住民ではなく、滋賀県甲賀市の就労者を中心とした集団であるため、今回示された1.25%を、そのまま日本人全体の有病率と考えることはできません。

今後は、より幅広い地域や年齢層を対象にした調査、症状の変化を継続的に追跡する研究、睡眠中の脳波や覚醒反応を測定する研究が必要とされています。

元論文
Tsovoosed U, Sumi Y, Ozeki Y, et al. Prevalence and impact of exploding head syndrome in a Japanese working population. SLEEP. 2025;48:1–8.
DOI:10.1093/sleep/zsaf007

neumo 若林龍成メモ

頭内爆発音症候群は「音」が中心で、通常は強い痛みがありません。一方、雷鳴頭痛の場合は「突然の激痛」が中心で救急受診が必要とされているので注意してください。

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