NHK「聞こえ」の特集なのに聞き取れない――あさイチで起きたこと

テレビの聞き取りにくさとBGM、字幕・反響対策・聞く力のトレーニングを示すイラスト

NHK「あさイチ」が「聞こえの悩み」を約60分特集

2026年9月14日(月)のNHK「あさイチ」は、「聞こえの悩み解決のヒント▽難聴・耳鳴りの原因と対策」と題した特集を放送しました。解説は慶應義塾大学名誉教授の小川郁先生と、済生会宇都宮病院の新田清一先生で、スタジオでは主に小川先生が解説を担当されていました。

番組は、9割以上の人で聞こえが改善したという「補聴器リハビリ」、聴力検査は正常なのに言葉が途切れて聞こえる「聞き取り困難症(LiD)」、カーペットや厚手のカーテンでリビングの音を聞き取りやすくする工夫、の3本柱で構成されていました。

放送中に「先生の話が聞き取りにくい」という声が殺到

ところが放送中、視聴者から「耳の聞こえの話題なのに、なぜBGMを流すのか。先生の話が聞き取りにくい」という指摘が相次ぎました。実際に番組を観ると、VTR中や出演者のトーク中に、大音量ではないものの、ほんのりと不思議な音がBGMとして流れ続けていました。

番組後半のおたよりコーナーで、鈴木奈穂子アナウンサーは「同様の指摘をたくさんいただいた」と認め、制作側が気付けなかったことへの謝意を述べました。

それこそが「雑音下聴取能」の問題です

このBGMは、意図せず「雑音下聴取能」のトレーニングのような状況を作っていました。かすかな背景音が流れるだけで、小川先生の解説が聞き取りにくくなる。これは音が小さいからではなく、「雑音の中から声だけを拾い出す力」が試されている状態です。

静かな検査室で行う聴力検査では正常でも、雑音下では聞き取りが落ちる人は少なくありません。番組が紹介した「聞き取り困難症」も、まさに雑音のある場所や複数人の会話で困難が出るのが特徴です。BGMは小さくても、視聴者の多くが「聞き取りにくい」と感じたという事実は、雑音下の聞き取りがいかに繊細なものかを示しています。

今日からできる3つのこと

  1. テレビの字幕をオンにする

    番組でも、聞き取り困難症の対策として「聞く努力を増やす」のではなく「文字情報を増やす」ことが挙げられました。字幕は最も手軽な補助手段です。

  2. 家の中の反響を減らす

    硬い床や壁が多い部屋では声が反射して聞き取りにくくなります。番組が紹介したカーペットや厚手のカーテンは、音を吸収して反響を抑える工夫です。テレビを消してから会話するだけでも環境は変わります。

  3. 雑音の中で聞き取る力そのものを鍛える

    番組では触れられていませんが、環境を整えるだけでなく、雑音下で言葉を聞き分ける力を意識的にトレーニングするという選択肢もあります。私たちのキクモアでは、騒がしい環境の中で言葉を聞き取るトレーニングを、脳科学の知見をもとに設計しています。「静かな場所では問題ないのに、人が多いと聞き取れない」と感じている方は、ぜひ一度試してみてください。

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