難聴は転倒リスクにもつながる

純音聴力検査で聴力が10 dB下がるごとに転倒オッズが1.4倍ずつ上昇

米国ジョンズ・ホプキンズ大学の研究(Lin & Ferrucci、2012年)によると純音聴力検査で聴力が10dB悪化するごとに、過去1年の転倒経験を報告するオッズが約1.4倍になる傾向が示されています。

ただし、10 dB悪化すると必ず転倒リスクが上昇するという「因果関係」を示した研究ではなく、難聴と転倒リスクに相関があることを示しているに過ぎません。

聞き取り努力に脳のリソースを取られて、姿勢制御がおろそかになる

難聴と認知症の関係においても登場する「認知負荷仮説」というものがありますが、難聴と転倒リスクの関係を説明する仮説の一つでもあります。

難聴で聞こえづらくなるため、難聴者はより多くのリソースを聴覚に割り当てます。そうすると姿勢制御などに脳のリソースを多く当てることができず、転倒リスクが高まるという仮説です。

25 dB聴力が悪化するごとに歩行速度が0.05 m/s遅くなることと相関していたり、課題をやりながら歩いてもらうと軽度難聴の人でも歩行が不安定になる可能性が示されています。

我々はバランスを取るときに音を利用している

ザーというホワイトノイズが流れている部屋において、どのくらい姿勢制御が上手にできているかを、バランスを崩しやすいマットの上で計測したところ(固い床の時との差分を取る)、正常聴力者において耳栓をせずに音が聞こえる方がバランスがよく取れていることがわかりました。

つまり、バランスを取る際に「音」も利用していることがわかります。

<neumo 若林龍成 メモ>

私も電車に乗っていてノイズキャンセリングイヤホンをつけたまま席を立とうとすると、かなりの確率で頭が吊り革にぶつかってしまいます。イヤホンを外していれば、まずぶつかりません。

耳が開放されていることで吊り革の位置が把握できているかと言えばそこは断定できませんが、重心の位置が安定したり、重心が安定することで視野が広くなり吊り革にも気づきやすくなっている気がします。また、周りの人も含めた全体的な距離感も、耳が開放されている方が聴力にも頼れるので距離がつかみやすい気がします。

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