難聴と糖尿病の意外な関係?

Nature系の論文誌 Scientific Reportsに掲載された研究の紹介です。難聴と心血管系リスクとの相関を調べた研究になります。

聴力低下がもたらす様々なリスク

聴力低下は会話困難だけではなく、様々なリスクをもたらします

  • 社会的孤立
  • 認知機能低下リスクの上昇
  • ストレスや抑うつにつながる可能性
  • 転倒リスクの上昇

今回の研究ではこれらに加えて「心血管系」リスクが絡むのか?というのがテーマです。

研究者が耳と血管の関係に注目した理由

耳と遠い場所にあるので一見関係なさそうに見えますが、実は密接な関係にあります。それは内耳の微小血管です。内耳にある蝸牛という部位は血流障害に弱いため、血管などのコンディションが低下すると聴力に影響が現れます。

ドイツの8,886人の聴力と健康を解析

特定の音の高さが聞こえるかどうかを測る純音聴力検査(500、1,000、2,000、4,000Hzの平均)と心血管系リスクに相関があるかを調べました。

関連を調べた病態は以下のとおりです。

  • 冠動脈疾患
  • 心筋梗塞
  • 心房細動
  • 慢性心不全
  • 脳卒中
  • 末梢動脈疾患
  • 心血管疾患全般

聴力低下の人は心血管系リスクが高いという相関が見られたが…

動脈性高血圧の有病率は、正常聴力群(良い方の耳で20dB未満)では37.8%だったのに対し、聴力低下群(20dB以上)では68.7%でした。

「聴力が悪い人は、血圧も高くて、心血管系疾患も多い」

と一見すると結論づけられてしまう結果がでました。

しかし、喫煙、糖尿病、高血圧、肥満、脂質異常、家族歴、そして年齢・性別・社会経済状況を考慮すると相関が消えてしまいました。

つまり、様々な要因が合わさって「難聴」と「心血管系リスク」に影響を与えているということになります。

それでも残った「糖尿病」と「難聴」の関係

様々な要素を考慮しても、難聴の人は糖尿病のオッズが1.24倍という結果が出ました。

糖尿病で全身の微小血管が障害されると、内耳の蝸牛にも影響が及ぶ可能性があるからです。

<neumo 若林 龍成メモ>

難聴は主に内耳の細胞(有毛細胞)の脱落によって起こります。この細胞は現在のところ再生させることができません(将来、遺伝子治療で再生できる可能性はある)。

ただし、騒がしい中での聞こえや複数人が話をしている中での聴こえについては、聴覚に関する脳を訓練することで変化が見られることが研究から分かっています。

弊社の実験でも2〜3ヶ月のトレーニングによって雑音下における聴こえが3.1dB(S/N比)改善することが分かりました。

興味があるかたはこちらのページをご覧ください。

聞こえのパーソナルトレーニングキクモア