フランスの行政パンフレットから学ぶ聴覚障害者との暮らし

仏政府のガイドラインの骨格は大きく5つ。補聴器は一部でしかない
フランス政府のサイトに「Vivre à domicile avec un handicap auditif(聴覚障害者の在宅生活)」というタイトルでガイドラインがあります。
骨格は以下の5つです。
- 主治医に相談する
- 適した機器を使う
- 住まいを調整する
- 他者とのコミュニケーションを調整する
- 支援を見つける
ちなみに補聴器は「適した機器を使う」という分類の1項目に過ぎません。
聞こえづらいには3種類の異なる問題が
聞こえづらいと一口に言っても、それは音量だけの問題ではありません。以下の3種類の問題があるとガイドラインでは指摘しています。
- 音が小さく聞こえる(音量の問題)
- 聞こえても言葉がはっきりしない——聞こえるけど分からない(明瞭さの問題)
- 騒がしい場所やグループの会話で特に困る(環境の問題)
例えば補聴器をつけていてもノイズキャンセリング機能がなかったり弱かったりすると騒がしい場所での聞き取りに苦労しますし、ノイズキャンセリング機能があっても複数人での会話は単に騒がしいのとは違う困難があります。
聞こえづらいと実際には、どんな困りごとが発生する?
ガイドラインでは以下のような具体例をあげています。
- ドアのノックや呼び鈴に気づかない
- 電話が鳴っても気が付かない
- 家族の食事中の会話についていけない(複数人会話、スピード両方の問題)
- 待ち合わせ場所を聞き間違える
- テレビの音量を上げすぎて家族に迷惑をかける
- 外出先で車や自転車の接近に気づきにくい
そして聴覚障害者が周りを過度に気づかうことで、もしくは周りが過度に聴覚障害者を気づかうことで、以下のような問題が発生してしまいます。
- 難聴があると本人は「苛立ち」や「孤立」に傾きやすい
- 聴覚障害者側が迷惑をかけまいと思い、家族との食事や外出を避けるようになる
- 家族や周囲の側も困らせまいと考えて「必要な情報だけ」に話を絞ってしまう
- 家族の中で「共通の話題」を形成する習慣が失われていく
電話、テレビ、緊急通報にも適した機器を使うという発想
電話がなっても気が付かない、テレビが普通の音量では聞こえないなど様々な問題がありますが、それを機器を使って対応するというアイディアも載っていました。
- 補聴器対応の電話機(電話機と補聴器が無線で繋がる)への変更
- 着信時に光で知らせてくれる装置をつける
- 電話着信時などに反応する警告灯を電話機がない部屋にも設置
- ポケット型バイブレータで着信時に振動で伝える
- スマホのバイブ+LEDライト通知
他にも会話文字起こしアプリや、テレビの字幕やテレビと補聴器をワイヤレスでつなぐシステム、緊急通報についてもフランスでは聴覚や発話に障害がある人専用の番号があったり、SMS・アプリ・ウェブサイトからも緊急通報が可能になっています。
<neumo 若林龍成(りょうせい)メモ>
フランスのガイドラインは実践的でかなり良いと思いましたが、これでもまだ足りないので続編を出そうと思ってます。
騒がしい中での聞こえについてはLINE登録をするとお試し頂けますのでぜひ。


