コオロギも騒音で難聴になるの?

メスのコオロギ(Teleogryllus oceanicus)を交通騒音にさらした時の影響を調べたCommunication Biology誌に掲載された論文から。
そもそもコオロギの耳はどこにある
コオロギの耳は頭のところではなく、前足のすね(脛節)にあります。
このすねにある鼓膜に対して音が外側からと、胸の気門(左と右)経由で足の中を通過して鼓膜の裏側からとで3方向から音が届きます。
複数経路からの音(音圧)が足されることで「オスが右横にいるぞ」とか「正面にいるぞ」ということが分かります。
高い音が聴こえたらコウモリへの警戒、低音〜中音は求愛の合図
すねで聴いた音はAN1とAN2という2つの経路で脳へと到達します。
オスの求愛ソングは4,000〜6,000HzぐらいでAN1経路で脳に到達します。
コウモリのような捕食者が発する超音波(10kHz〜200kHz)に対しては、AN2(10〜50kHzに感度)が反応し、脳の警戒領域に直接情報を伝えます。
交通騒音でコオロギは難聴にはならなかったが反応が鈍くなった
実験では幼虫のコオロギに高速道路付近で一週間連続で録音した音を、平均約70 dBAで成体になるまで数週間聴かせ続けて育てました。比較用の幼虫コオロギ(対照群)には30dBC未満の状態(かなりの静寂)で育てました。
騒音下で育てたコオロギは難聴になることはなく、オスの鳴き声やコウモリの超音波に反応することができました。
しかし、オスの鳴き声にすぐに反応できず少し間をおいてから反応するようになってしまいました。
騒音にさらされ続けて神経が普段から緊張状態に
交通騒音にさらされ続けたことによって、コウモリのような捕食者に反応するAN2神経経路
が音がない状態でも活動しっぱなしの状態になってしまいました。これがオスの求愛ソングへの反応を鈍らせてしまった原因と考えられます。
<neumoメモ(若林 龍成)>
今回の実験ではコオロギは騒音で難聴になりませんでしたが、人間が年齢を重ねて難聴になるのは実は「騒音」が主な原因です。
ある研究で奥地で暮らし、しかも騒音とは無縁の原始的な生活をしている部族の聴力を調査したところ、歳を取っても聴力がほぼ変わらないことが分かりました。そんな部族の人たちも成人して都会に出た人たちはしっかりと加齢性難聴になっていました。
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